
著:荒川洋治 版元:みすず書房 P352 四六判ハードカバー 2020年10月刊
ゆったりとした文章。その中に文章でしか汲みとることのできない、この世の深い「ほんとうの現実」がつつましく開かれる。28年のあいだに発表されたエッセイを精選。華美さを注意深く排し、「これぞ、読むよろこび」と思わせる。しかしよいタイトルですね。
【内容】 版元サイトより
1992年から2020年まで28年間に発表されたエッセイより86編を精選。『夜のある町で』『忘れられる過去』『世に出ないことば』『黙読の山』からの諸編に加え、同時期の名編と単行本未収録の追悼「加藤典洋さんの文章」など近作8編を収める。ことばと世間、文学と社会、出版と時世に、目を凝らし耳を澄ませてきた荒川洋治。その文章世界がこの一冊に凝縮している。
困難な時代であればあるほど、文学の実力は認められる。「これまで「実学」と思われていたものが、実学として「あやしげな」ものになっていること、人間をくるわせるものになってきたことを思えば、文学の立場は見えてくるはずだ。」(本書「文学は実学である」より)。初のベスト・エッセイ集。