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著:メアリ・ノリス 訳:有好宏文 版元:柏書房 P285 四六判ソフトカバー 2020年12月刊
ただ誤字脱字や誤用を指摘するだけが、「校正」と呼ばれる仕事ではない。それは書き手の癖や言葉の背景、文章に流れる心情をも汲んだ、人間にしかできない仕事だ。校正にまつわる悲喜こもごもを書いた、言葉の職人の話。
【目次】 *版元サイトより
序章 カンマの女王の告白
〈足確認係からミルクウーマンへ/酪農人からニューヨーカーへ/すべての経験が生きる仕事〉
1章 スペリングは変人のもの
〈『WebⅡ』と『Web 3』の聖なる序列―辞書の話/どうしてゼッドがズィーなのか―綴りと発音/centreをcenterに―アメリカ式スペリング/変人の聖地へ―メリアム・ウェブスター社/初めて拾った日―ゲラ読み宙に舞う〉
2章 どっちが魔女(ウィッチ)なんだか
〈ゲラ上のプロポーズ―著者への指摘出し/制限なんか嫌いだ―関係代名詞のthatとwhich すべてがここに集う―集約部/たぐい稀なるジョン・マクフィー―出すぎた鉛筆/魔法使いジョージ・ソーンダーズ―ぶらさがり分詞〉
3章 彼と彼女のむずかしい問題
〈さようなら、スチュワーデス―女性形の職業名/ペニスはheで受けるのか―代名詞の性/数と性はどちらが大事?―単数のthey 弟が妹になるということ〉
4章 屈折してるね、あなたとわたし
〈車はどうして動くのか―言語の構造/あなたとわたしの過ち―between you and me Iはmeのフォーマル版?―屈折変化/誰がために mはある―whoとwhom〉
5章 カンマは気まぐれ
〈J・F・ケネディはストリッパー?―シリアル・カンマ/プレゼントにわたしを買った―ディケンズのカンマ/立ち上がるための時間―メルヴィルのカンマ/何度も死なないために―『ニューヨーカー』の細かなカンマ/形容詞にスピンをかける―ジェームズ・ソルターのカンマ/若気の至りは文末に―イアン・マキューアンのカンマ〉
6章 『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?
〈バンパーとレジ係には要警戒―分けるハイフン/辞書に振り回される―繫ぐハイフン/カンマ・クイーンとミスター・ハイフン―芸術的ハイフン/『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?〉
7章 ダッシュ、セミコロン、コロンがバーに入ると
〈しかるべき長さ―エムダッシュ、エヌダッシュ/この曖昧なもの―ディキンソンのダッシュ/お高くとまったお方―ヘンリー・ジェイムズのセミコロン/折り目正しい執事―ケレファ・サナのコロン〉
8章 アポストロフィの浮き沈み
〈自然の浸食作用/アポストロフィ保護協会/八百屋は面白い〉
9章 使うなら * 正しく使おう * Fワード
〈押さえつけるとむしろ ******/ラッパーを校正すると******/遠回しに言うとかえって ******/10章 鉛筆狂のバラード いちばんの鉛筆を求めて/すべての鉛筆はサンドウィッチである/区切りをつける/いざ鉛筆削り博物館へ〉
終章 百万ドルの校正者
〈百万ドルの校正者/図書館/カンマ、宙に舞う〉