著:鶴見俊輔 版元:編集グループSURE P352 四六判ソフトカバー 2022年6月刊
戦後、日本各地で同時多発的に興った、同好会、小雑誌を作るという「サークル活動」。自分のよって立つ場所を掘り下げ、その先にいる同好の士とつながっていこうとする動きは、どこかいまに通じるところがある。「思想の科学」の連載批評、初の集成。
【内容】 *版元サイトより
2015年に満93歳で逝去された哲学者・鶴見俊輔さん(1922-2015)は、今年6月、生誕100年を迎えます。
敗戦後まもなく23歳で雑誌「思想の科学」を創刊した鶴見さんは、以来50年間にわたって同誌の編集の中心を担いつづけました。この雑誌の特徴のひとつに、東京中心のジャーナリズムとは違って、各地の暮らしの底流をなす思潮を汲み上げ、そこからの議論を形成していこうという姿勢がありました。その旗印とされていたのが、1960年から21年間にわたって同誌上で複数の筆者によってリレーして続けられる、さまざまな地域のサークル雑誌評「日本の地下水」でした。
60年安保前夜から、高度経済成長期、オイルショックを経て、「階層消費」型社会の完成期にいたるまで──。「日本の地下水」の連続批評は、こういった社会変遷の底流に目を向けて、もう一つの現代史をつづっていきました。
本書、鶴見俊輔『日本の地下水──ちいさなメディアから』は、この長期連載のなかから、鶴見さんが執筆したもの全てを、初めて集成したものです。
ここには、鶴見さんの特質である多元的な視野の広さ、そして、踏み込みの鋭さが、いかんなく発揮されています。21世紀を生きる私たちにとって、見失われがちな知恵と勇気を取り戻させてくれる批評集です。
鶴見俊輔、生誕100年のおり、ゆかりのみなさまにお読みいただければ幸甚に存じます。