著:ヤン ヨンヒ 版元:クオン P256 四六判ソフトカバー 2023年4月刊
日本と朝鮮半島の歴史に翻弄された自身の家族を題材として、これまでドキュメンタリーと劇映画を撮ってきたヤン ヨンヒ。家族とは何か、自分とは誰か。映画には描ききれなかった話、心情を書いたエッセイ。まずは韓国語版が出版され、その後日本語で執筆でされたオリジナルの原稿をもとにした本書が刊行された。
【内容】 *版元サイトより
家族を撮ること――それは自分のバックグラウンドと広く深く向かい合うことだった。
映画監督ヤン ヨンヒが自らの家族にカメラを向けた<家族ドキュメンタリー映画3部作>のビハインドストーリーや、撮り続けるなかで感じる想いを、率直な語り口で綴ったエッセイ。
ヤン一家の話を通して、日本と朝鮮半島が歩んできた道、<家族>、そして<わたし>という存在を、見つめるきっかけになる一冊。
「日本と朝鮮半島の歴史と現状を全身に浴びながら生きてきた私の作品が、人々の中で語り合いが生まれる触媒になってほしい。そして私自身も触媒でありたい。生きている限り、伝え合うことを諦めたくないから」
(本書より)
目次
はじめに
1.普通の人たち
猪飼野の女たち
アメリカ人、日本人、朝鮮人
「親しかでけへんで」
食卓を挟んで
最後の家族旅行
「大きな写真機」を持って
「おばあちゃん、おじいちゃん、ありがとうございます」
父の古希祝い
残酷な質問
ウリ ヨンヒ チャッカジ
2.カメラを切って
ソナの微笑み
小川の水、くねくねとどこへ行く
「この人は私のコモです」
ギターを弾く新しい母
必死の電話
最後の挨拶
毎日ちゃんと食べて、少しでも笑う
父の隣に添い寝して
3.すべての行為は祈り
記憶の糸を手繰り寄せるように
細胞に染み込んだ歌
母、二〇歳
もう一人の主人公
鶏スープを分けて食べる
コノ兄の死
母の証言
忠誠の歌
七〇年ぶりの済州島
肖像画を下ろした日
送れない手紙
祈るオモニ