詩:エリザベス・コーツワース 絵:藤田嗣治 訳:矢内みどり 版元:求龍堂 P72(図版12点) B5判ハードカバー 2023年10月刊
いまから73年前、NYで過ごしたフジタは、アメリカで愛されていた詩人とともに、一冊の美しい絵本を作った。毛の一本一本までいのちが通って見える絵もそうだが、気品にあふれた猫を描写したコーツワースの詩が素晴らしい。
【内容】 *版元サイトより
夜が訪れ、猫はふわりと現れる。
73年前のこと、戦後日本からフランスへ戻る旅の途中、NYで過ごした藤田嗣治は、
児童文学者で詩人のエリザベス・コーツワースと、二人で夢のような絵本を作った。
幻の名作、日本初出版。
今から73年前、画家・藤田嗣治は第二次世界大戦後の1949年に日本を離れ、NY経由で翌年フランスへ戻る旅に出た。このNY滞在中に、藤田は詩人で小説家のエリザベス・コーツワースの猫にまつわる詩に絵を提供する。
大晦日とお正月のわずか2日間で描き下ろされた十数点の猫たちの吸い寄せられるように美しい素描群は、コーツワースの詩とともに一冊の絵本となった。
出版当初、本書には、「この叙情詩は、お日様のような暖かさの野イチゴの呼吸のように、読者の意識に落とし込まれる。田園生活を知り、愛して、そのリズムと美しさを確実に表現できるただ一人のひとだ。」(キャロル・M. リチー、ボストントラベラー)という賛辞が寄せられた。
いかに人々へ深い幸福感を与えたかが感じ取れる。藤田とコーツワースをつなぐ「猫」の神秘と謎、温かさ。猫を深く愛した二人の創造者が生んだ幻の名著が、70年の時を超えて現代に甦る。
すべての猫を愛する、詩を愛する、藤田嗣治の作品を愛する人々へ贈る。
<目次>
夜会
猫はどこにいるの
母と娘
日曜日
隠遁者
平穏なヤカン
ある雪の夜に
炉端の子猫
雨
暗闇の詩
田舎の庭
田舎の猫
猫とオーロラ
夜の足跡
風と雨
自動車と猫
黄色い猫
道連れ
子猫
ある若い猫の肖像
開いた扉
ロックアウト
子猫たちが遊ぶ時
猫
おまえがしたいように
単純な方式
クリスマス・イブ
白鳥の綿毛(スワンズダウン)、という名の子猫
四月の夜の嵐
島の猫
まぼろし
男と子猫
亡命者
猫を呼び込む
おわりに/矢内みどり
エリザベス・コーツワースについて/矢内みどり 編
藤田嗣治について/矢内みどり 編