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著:キム・ソヨン 監訳:姜信子 訳:奥歯翻訳委員会 版元:かたばみ書房 P232 四六判ソフトカバー 2023年11月刊
わたしを抑圧してくる母。「奥歯を噛みしめ」それに耐え、すべてを詩にしたとき、そのことについて語り、愛せるようになった。しんとした硬質の言葉が美しい、勇気づけられるエッセイ集。
【内容】 *版元サイトより
心の傷もわかりあえなさも、
すべてを詩にしたとき、母を愛せるようになった——。
痛みの声を聴く詩人が、母、父、心の傷、そして回復までの日々を語る。
奥歯を噛みしめて耐えること、奥歯を噛みしめて愛すること。
何もできなかったあのころ。それは、詩のうまれゆく時間であった。
生きることそれ自体が、詩になる。
それは特別なことではなく、
あなたの人生もまた詩なのだ。
寒さに震える心をそっと包み込む、かぎりなくあたたかな30篇のエッセイ。
「日本の読者へ」と、三角みづ紀(詩人)による応答エッセイを付す。
目次
日本の読者へ
はじめに
1
母を終えた母
2
口があるということ
慶州市千軍洞の敵産家屋
振り返らせる
歩いてそこへ行く
少し違うこと
懐中電灯を照らしながら歩いた夜
場所愛 topophilia
間隙の卑しさの中で
祈りをしばしやめること
私を煩わせる「無」
パンと彼女
失敗がきらめく
「積ん読」と「積ん読の対義語」
無能の人
あらゆる者の視点
3
儚い喜び
4
「途方もなさ」について
じたばたのつぎのステップ
音なき岩
皮膚を剥がす
奥歯を噛みしめる
わたしが詩人なら
楯突く時間
得る
二〇三〇年一月一日 火曜日 晴れ
明日は何をしようか
木の箸と木彫りの人形
平和であれ
5
二箱の手紙
忘れないために、手放すために 三角みづ紀
監訳者あとがき たとえ奥歯はすりへろうとも