著:新居格 編:荻原魚雷 版元:虹霓社 P246 B6変形判ソフトカバー 2024年3月刊
戦後初の杉並区長は、偉ぶることなく、進んで市井の人の一員となるのを好んだ。散歩が好き、日常の移ろいが好き……、そのような人の書く文章は、人を驚かせない、慎み深いよさがある。
【内容】 *版元サイトより
戦後初の杉並区長として知られる新居格(にい いたる)。著作リストが作れないほど多くの随筆や評論、批評を遺したものの、代表作と呼ばれるような作品もなく、『杉並区長日記』と翻訳書(パール・バック『大地』等)を除いて新刊で読める本はない。
アナキストを自称し、議論を嫌い、知識人や文化人と呼ばれることを恥じ、戦時中も市井の人々や日々の生活を大切に生きた新居。そんな新居と同じく、散歩と読書をこよなく愛する高円寺の文筆家・荻原魚雷が、時に弱音や愚痴をこぼす彼の随筆を厳選、今の時代に蘇らせる。42の随筆と1つの詩を収めた名随筆集が誕生。
【目次】
(詩)
自由人の言葉
爽やかな海景
性格破産者の感想
モダンガールの心臓
大地震の思ひ出
正月
春の淡彩
微涼を求めて
冬日独語
散歩者の言葉
小さな喜び
雑草の如く
断想
生活の錆
或る日のサローンにて
五月と読書生
時間
街と同盟する言葉
世界的なもの
批評家の生活
街の銀幕
林檎畠にて
鮒を釣る卓
凡人私語
晴日の書窓にて
或る日に思ふ
生活の楽しさ
人生老い莫し
貧民の叡智
小さな世界
旅する心
燕雀の志
春に考へる
書斎の春
順境・逆境
本と読書との好み
金について
眠むれぬ或る夜
菜園
散歩の哲学
高円寺にて
新生日本の姿
編者解説 高円寺の新居格(荻原 魚雷)