SOLD OUT
版元:katsura books P336オールカラー 四六判ハードカバー 2023年12月刊
渋い宝石のような本である。後期の小津映画には、着物から調度品から一つ一つのものが選ばれたという美意識が貫かれているが、それを着物の面から支えた浦野理一の仕事。ふんだんに収録された裂(きれ)の図版に、「大人」がいると思った。
【内容】 *版元サイトより
昭和35年7月22日の読売新聞夕刊に「原節子、三年ぶり小津作品へ スタンダード・カラー「秋日和」に出演」という記事が掲載されました。記事には「小津監督はまず着物だと、原を北鎌倉の染色工芸家浦野理一のところへひっぱっていった。」と書かれています。
小津安二郎監督は、映画「秋日和」「小早川家の秋」「彼岸花」「秋刀魚の味」の女優に浦野理一の着物を採用しました。
同時期、浦野は鎌倉にある東慶寺で映画衣裳や新作の展示会を開催し、雑誌「ミセス」に映画衣裳や新作を着た女優が登場する連載を持つなどして、多くのファンを生みました。
しかし、浦野は「着物作家は表に出るべきではない」と裏方に徹したため、多くのファンがいながら、いまだその人となりは秘められた存在になっています。
小津監督の生誕120年、没後60年にあたる今年刊行する本書で、染織工芸家浦野理一の仕事と人間的魅力に迫ります。
[ 主な内容 ]
北鎌倉の家
襖、座布団、ソファ…。
縦節紬がいきる暮らし
北鎌倉の家の庭
如月、卯月、水無月、文月、神奈月
小津映画のきもの帖
「東京暮色」「彼岸花」「秋日和」
「秋刀魚の味」
小津安二郎の手紙
雑誌「ミセス」の連載
1966年「明治の紫格子」「もめん鹿の子」「オランダ縞の帯」
1969年「白つむぎの茶羽織」「あらしぼ色小紋」「綿絽の小紋」
作家や映画人を魅了した仕事
『幸田文全集』の幸田格子
石原まき子の婚礼衣裳
浦野の仕事を支えた染織の職人
長野県下諏訪町、岡谷市