著:柴崎友香 版元:医学書院シリーズケアをひらく P304 A5判ソフトカバー 2024年5月刊
いったい、私の身体に何が起こっているのか?自分だけが、別の世界に来てしまったか? ADHDの診断を通じ、これまでの人生を考えてみると、そこには複数の時間、並行する世界があった。
小説家の柴崎友香さんの新刊が「シリーズケアをひらく」から刊行。〈わたし〉という概念が溶けていきそうな本だ。
【内容】 *版元サイトより
眠い、疲れる、固まる、話が飛ぶ、カビを培養する。それは脳が励ましの歌を歌ってくれないから?──ADHDと診断された小説家は、薬を飲むと「36年ぶりに目が覚めた」。私は私の身体しか体験できない。にしても自分の内側でいったい何が起こっているのか。「ある場所の過去と今。誰かの記憶と経験。出来事をめぐる複数からの視点。それは私の小説そのもの」と語る著者の日常生活やいかに。SFじゃない並行世界報告!
プロローグ──並行世界
I──私は困っている
1 なにもしないでぼーっとしている人
(ここでちょっと一言)
2 グレーゾーンと地図
3 喘息──見た目ではわからない
4 助けを求める
5 眠い
6 「眠い」の続き
7 地味に困っていること
8 ADHDと薬
9 ワーキングメモリ、箱またはかばん
10 線が二本は難易度が高い
11 励ましの歌を歌ってください
12 さあやろうと思ってはいけない
13 助けてもらえないこと、助けようとする人がいること
II──他人の体はわからない
1 強迫症と『ドグラ・マグラ』
2 時間
3 靴の話
4 靴に続いて椅子問題
5 パクチーとアスパラガス
6 多様性とかダイバーシティみたいな
7 「普通」の文化
III──伝えることは難しい
1 そうは見えない
2 「迷子」ってどういう状況?
3 視力と不機嫌と客観性
4 ASDキャラとADHDキャラ
5 片づけられない女たち?
6 わからないこととわかること
7 毒にも薬にもなる
8 体の内側と外の連絡が悪い
9 奪われ、すり替えられてしまう言葉
10 気にするか、気にしないか
IV──世界は豊かで濃密だ
1 複数の時間、並行世界、現在の混沌
2 自分を超えられること
3 旅行できない
4 マルチタスクむしろなりがち
5 私と友達
6 向いている仕事
7 休みたい
エピローグ──日常
おわりに