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著:東畑開人 版元:角川書店 P352 四六判ソフトカバー 2024年9月刊
誰もが突然雨に降られるように、心に降る雨も、自分に、親しい人に降ってくる。そうした時心理学の知識を知っていたら、おぼつかなくても傘がさせるかもしれない。誰にでも突然はじまってしまう、私たちの日常で起こるケアの話。
【内容】 *版元サイトより
こころのケアははじめるものではなくて、はじまってしまうものである。
つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。
よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。
そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。
同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。
子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部下が会社に来なくなる。あるいは、友人から「もう死んでしまいたい」と連絡が来る。
突如として、暗雲が立ち込める。
どうしてそうなったのか、なにをすればいいのか、これからどうなるのか、全然わからない。
でも、雨が降っていて、彼らのこころがびしょ濡れになっていることだけはわかります。
そのとき、あなたは急遽予定を変更せざるをえません。とにもかくにも、なんらかのこころのケアをはじめなくちゃいけなくなる。
傍にいるのがあなただったからです。その人があなたの大事な人であったからです。
ある日突然、あなたは身近な人に巻き込まれて、雨の中を一緒に歩むことになってしまう。
こういうことがどんな人の身の上にも起こります。
人生には、こころのケアがはじまってしまうときがある。
ですから、突然の雨に降られている方々に向けて、あるいは長雨の中で日々を過ごしておられる方々のために、心理学の授業をしてみようと思います。
雨が降ったら、傘を差すように、こころのケアがはじまったら、心理学が役に立つと思うからです。
(まえがきより)
こころのケアとは何か、どうすればこころをケアできるのか、その本質から小手先の技術までを惜しみなく教える授業形式の心理学入門。
【目次】
まえがき 雨の日のガイダンス
1日目 こころのケアとはなんだろうか ―雪だるまを溶かさない―
2日目 こころをわかるとはどういうことだろうか ―既読スルーを思いやる―
3日目 こころはどうしたらきけるのか ―ゼリーをやりとりする技術―
4日目 こころはなにをすれば助かるのか ―余計なお世話と助かるおせっかい―
5日目 ケアする人をケアするもの ―つらいとき、たのしいとき―
もっと勉強したい人のためのブックガイド
あとがき 宿題となっていた質問
★各章に、生徒からの質問や悩みに答えるQ&A「質問タイム」を収録!