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著:荒井裕樹 版元:教育評論社 P208 四六判ソフトカバー 2024年9月刊
良い文章とは何だろう? そうした問いを掲げてはいるが、この本は読み書きの指南書ではない。どちらかといえばその逆、その問いを前に置きながら、逡巡する過程に、その実があるというか。自らを丁寧に見る先に、言葉はある。
【内容】 *版元サイトより
良い文章ってなんだろう?
――生きづらさの表現と向き合ってきた文学者が
「書くこと」について綴ったエッセイ
「良い文章を探すことは、喩えるなら、夜空を見上げて星座盤にない星を探すようなものかもしれない。確かに今、視線の先に星は見えない。でも、この視界の先に星があると信じることはできる。信じた方が、夜の暗さが怖くなくなる。そう感じられる人と、この本を分かち合いたい」――「はじめに」より。
はじめに――とはいえ、を重ねながら綴る
急須のお茶を飲みきるまでに
何者かでありすぎて、自分以外ではない
押し込められた声を聞くことができるか
やさしい言葉
書いた気がしない本
憧れる言葉
羨ましい読まれ方
遠くの場所で言葉が重なる
伸ばせたかもしれない翼を語る
時々こうして言葉にしておく
感情の海を泳ぐ
生きられた世界に潜る
ずれた言葉の隙間を埋める
心の在処を表現する
世界を殴る
何かするとは、何かすること
自分がやるしかない証明作業
言葉にこまる日のこと
子どもと生きる
「仕方がない」が積もった場所で
「分かってもらえない」を分かち合いたい
下駄を履いて余力を削る
文章と晩ごはん
おわりに――綴ることは、息継ぎすること